作家側が実質勝利→自炊代行は違法だ! というのは少々難しい決着だった。個人的には白黒付けてもらった方が判断付きやすかったと思う。何せ、法廷での法的決着が付かない灰色の勝敗だったからに他ならない。作家側は自炊代行は違法であるという法的勝利を目指したかったんだろうが、代行業者が肩透かしを食らわせたように思える。これは代行業者の浄瑠璃道理で表向きは作家勝利だが、灰色の結論に導かれてしまったことで事実上敗北しているのが趣深い。

で、議論の大筋が著作権法上における「複製権」。この解釈についての対立が全てなんですが、詳細は他で調べた方が早いです。
個人的には、うーんアウトかな。本自体の物理的複製ではないが、データ的複製ですからね。問題は、この”個人的に”という「解釈」なんです。
法的な仕事にドップリ漬かってる身とすると、この「解釈」によって事例が二転三転することもあり、分掌内で各自の「解釈」によって喧々諤々な議論が起きます。色々見ると、自炊代行について法律家の中でもこの「解釈」で適法だというものも居れば違法だというものもいるということで、なんともかんとも。

なお、作家出版側も泣き所はあります。ただでさえ本を買う人読む人が減少し、今電子書籍ブームが来ている今、電子書籍の延長上、原点でもある自炊を違法化、否定させると、下手すると各社で取り組んでいる電子書籍についても「それどうなん?」って事にも成りかねない可能性もある。自炊及び代行は違法であるとドヤ顔した判決が電子書籍へのグレー判断になる・・・というのは避けたいんじゃないかと。そうなると、作家側にもいい落とし所だったのか、と思えてきます。

・・・と長くなったが、結局ワタシはどうしようかな、と考えると、本に関して今はかなり負のスパイラル。

蔵書の電子書籍版欲しい→出ていないので死蔵→新刊出ても電子書籍版出ない→買わない、でどん詰まり。死蔵分はスペース取るばかりだし、アウトだと「解釈」していても、本棚スペースを開けることでリソース増加が見込めるならば、とやってみてもいいかもしれん・・・かなあ?